東京23区内にあるマニアックな旅行スポット

オリンピックに向けて、着々と開発が進んでいる東京。道路も建物もどんどん新しくなっています。そんな東京へ旅行する際に「東京といえば、スカイツリー!」などと安易に考えていませんか?東京にはスカイツリー以外にも、楽しめる観光名所がたくさんあるんですよ。

今回は東京都内のなかでも23区内に特化して、マニアックなおすすめスポットを紹介していきます。

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衆議院憲政記念館を知っていますか?

千代田区の観光名所といえば国会議事堂ですが、国会議事堂に行った際はすぐそばにある『衆議院憲政記念館』も訪れてみてください。

初の衆議院選挙と第1回の議会が開かれたのは、明治時代の1890年でした。議会開設以来の歩みと資料を公開するため、1972年に衆議院の付属機関として国会議事堂の隣に設けられたのが、この衆議院憲政記念館です。

明治時代の議会や選挙の様子は色鮮やかな錦絵で描かれていて、国会開設にあたっての天皇のお言葉原稿を手に入れた伊藤博文の文書などナマの資料が公開されています。館内には議場体験コーナーと名付けられた一角があり、このコーナーには衆議院議長席など議場の一部が再現されているのです。

実際に椅子に座ることもできるので、議長や議員の目線を体験することができますよ。

勇敢な議員がいた証

衆議院憲政記念館の立体ビジョンコーナーでは、初議会開会までの出来事が映像と人形でわかりやすく示されています。初の議会で作法や行動に戸惑う議員のありさまが人形を使って興味深く組み立てられているのです。反軍演説を理由に議員を除名された立憲民政党の齋藤隆夫議員の除名通知書と国民から届いた激励の投書も展示されています。

この展示を見ると、時勢に屈せず立ち向かう議員がいたことがわかり、感慨深い想いにさせられますよ。入館料が無料というところも、この記念館の魅力です。毎月末日と年末年始が休館となっています。

たくさんのレプリカから食文化を学ぶ

時代とともに変化する食文化の様式に興味がある方は、港区にある『味の素食の文化センター』がおすすめです。この文化センターは、「食文化展示室」と「食の文化ライブラリー」に分かれています。食文化展示室には江戸時代から最近までの料理のメニューやレシピが並んでいます。

それに加えて江戸時代と明治時代の浮世絵に基づいた料理の復元レプリカもあるので、食文化の移り変わりが理解できるのです。また浮世絵師として知られる歌川豊国の「見立源氏はなの宴」の拡大グラフィックに添えた花見弁当レプリカも展示されています。

この花見弁当は、重箱に蒸しカレイ、サヨリ細造り、桜鯛早寿司、紅梅餅など、20種類余りがぎっしり詰められた豪華版です。初期のうなぎ料理のレプリカからは、輪切りにしたウナギの串焼きがガマの穂に似ていたのでガマ焼きと呼ばれていたこと、それが訛って「蒲焼き」という名前になったことがわかります。

また江戸時代の寿司は、塩漬けのコハダ、アナゴ、マグロなどの握りが大きく、職人たちのファーストフードとして人気を博していたことが伝わってきます。さらに食の文化ライブラリーでは、食に関する内外の書物が約4万冊も公開されていますよ。

この文化センターの入館料は無料で、休館日は日曜祝日と年末年始です。都営地下鉄高輪台駅から徒歩5分でアクセスできます。

折り紙の世界を堪能

昨今は海外でも大人気で、英語の辞書にも載っている「ORIGAMI」。そんなおりがみが好きな方は、お茶ノ水にある『おりがみ会館』がおすすめです。この会館を運営している「株式会社ゆしまの小林」の歴史は古く、前身は初代の小林幸助氏が染め紙業を始めた1858年(安政5年)にまでさかのぼります。

そして、おりがみ文化の普及のため、1972年(昭和47年)におりがみ発祥の地である文京区湯島にこの会館をオープンしたのです。

1階のエントランスには、季節を感じさせる見事な作品が並んでいます。

人形や花など、どれも紙で作ったとは思えない精緻さで、なかでも1枚の紙からできた59羽もの連鶴は圧巻です。3階のショップには、和紙や小物など2千点以上のアイテムがそろっています。このフロアでのお楽しみは、小林一夫館長による実演です。

単におりがみを使って実演するだけでなく、箸置きの紙や紙ナプキンなどを使って素敵な作品を作り上げるのです。小林一夫館長は、時間が許す限り顔を出して、おりがみの魅力をたくさんの人に伝えています。4階の工房では、常時ではありませんが染め師の作業を見学することができます。

ムラなく染められた和紙はオンリーワンの芸術品です。和紙だけに、まさに“紙技”だといえます。おりがみ会館の入館料は無料です。JR御茶ノ水駅から徒歩7分でアクセスでき、日曜と祝日が休館となっています。

江戸上水の工夫を学ぶ

江戸上水に関心がある方は、文京区にある『東京都水道歴史館』がおすすめです。1階は近現代の東京都の水道事情を知らせる展示場で、2階は江戸時代の上水道紹介が主なテーマになっています。

1階にある口径2.9メートルもある日本最大の鋳鉄水道管の断面模型は迫力たっぷりです。漏水率を他の国と比べても低い3パーセントで維持するためのさまざまな技術が紹介されていて、見学者は地中の漏水音調べを体験できます。

2階の展示場にある江戸上水の木製給水管は、丸の内にあった旧東京都庁舎敷地の阿波徳島藩上屋敷跡で発掘された実物です。ここでは上水が、小石川を最初に、玉川、本所、青山…と水源を増やしながら普及していったことを学べます。

水は木製給水管を継ぎ手で枝分かれさせて、最後に住宅地の井戸に流し込んだそうです。そしてこの木製給水管から、人々がそこから水をくんで生活に利用していた暮らしぶりが伝わってきます。木製給水管は合わせ目に杉などの皮を詰めて密封されています。

この展示物は、多少の上りの水流にも耐える江戸時代の高度な技術も紹介しているのです。また大規模な伝染病が流行しなかった衛生的な江戸の背景も理解できます。東京都水道歴史館には東京メトロ本郷三丁目駅から徒歩8分でアクセスできます。

毎月第4月曜日(祝日のときは翌日)と年末年始は休館となっています。入館料は無料です。この歴史館に隣接している本郷給水所公苑には、石垣溝の神田上水の遺構があります。東京都水道歴史館で水道の歴史をもっと掘り下げたい気分になった方は、この遺構も訪れてみてはいかがでしょうか。

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